医科初期臨床研修について 各診療科研修

 

泌尿器科

研修の特徴

泌尿器科は腎臓、尿路(腎盂、尿管、膀胱、尿道)、男性生殖器(精巣、精路、前立腺、陰茎)、および副腎や上皮小体の内分泌臓器など、数多くの臓器を扱う外科系専門診療科です。患者さんの年齢層も小児から老年期までと幅広く、また、骨盤内臓器における男女の違いもあり、きわめて奥深い領域です。

泌尿器科臨床の特徴は、診断から治療、その後の管理を含め一貫して自科で診療できることです。診断には画像、生理機能、内視鏡検査などが含まれ、治療は手術治療から薬物治療まで、外科的側面のみならず、内科的知識も大いに要求されます。また、歴史的に内視鏡手術を治療におけるひとつの柱として発展してきた科であり、今日の低侵襲手術のさきがけとなった分野でもあります。超高齢化社会を迎えたわが国では典型的な高齢者癌である前立腺癌や加齢に伴う排尿障害を患う方々が急増しており、泌尿器科の社会的ニーズはますます高まっています。

以上が泌尿器科の特徴です。当科では、泌尿器科疾患の教科書的な知識だけではなく、臨床に直結する知識および技術を修得することを目的として研修を行っています。そのため、上級医の指導のもとに、外来、病棟、手術室などいずれの状況においても、研修医が医療の重要なスタッフとして積極的に臨床に参加できる体制をとっています。

研修目標
(一般目標 GIO、行動目標 SBOs)

一般目標 (GIO)

泌尿器および男性生殖器に発生する先天性・後天性の疾病、外傷などの基礎知識を修得し、病態に応じた診療計画を立案する事ができるように指導します。実際の臨床において医療面接・検査・診断・治療を柔軟かつ的確に施行できる技術を修得すします。さらに、他科の内科系・外科系の医師および看護師をはじめとするメディカルスタッフと円滑にコミュニケーションをとることにより、泌尿器科疾患のみならず広い分野の疾病に対応する診療能力とチーム医療の重要性とその実際を修得します。

行動目標 (SBOs)
  • 1.患者に対して誠意のある医療面接やインフォームドコンセントができる。
  • 2.泌尿器科スタッフ、他の医療スタッフと良好なコミュニケーションをとることができる。
  • 3.医療制度の知識:診療を通じてわが国の医療制度を理解する。
  • 4.泌尿生殖器の先天性疾患、腫瘍、炎症、機能障害、結石など各疾患の診断に必要な検査を理解し、オーダーすることができる。
  • 5.検査(血液尿検査、画像診断、病理検査、ウロダイナミックスタディ、など)の結果を正しく判断し、的確に疾患や状態を診断できる。
  • 6.泌尿器科の一般的な処置・検査(膀胱尿道鏡、逆行性尿路造影、カテーテル造影、ウロダイナミックスタディ、など)ができる。
  • 7.泌尿器科の救急処置・検査(腎瘻造設、膀胱瘻造設、縫合止血、など)ができる。
  • 8.泌尿器科の基本的な手術・検査(経尿道的手術、ESWL、前立腺生検、腎生検、など)ができる。
  • 9.泌尿器科の高度な手術(腹腔鏡下手術、ロボット支援手術、尿路変向術、など)の実際を理解しチームの一員として診療にあたる事ができる。
  • 10.最新の英文学術雑誌の抄読会に参加し、内容が理解できる。

研修内容(方略 LS)

LS1 0n-the-job training
  • 1.外来、病棟において患者を指導医とともに受け持ち、インフォームドコンセント、検査オーダーの仕方、検査結果の解釈を学ぶ。
  • 2.外来、病棟、手術室における検査・処置・手術の介助を経て、基礎的な検査・処置・手術の術者を経験する。
  • 3.受け持ち患者の術後管理を指導医とともに経験し、どこに気をつけ、何を診ているかを学び術後管理の実際を習得する。
  • 4.症例カンファレンス、放射線カンファレンス、病理カンファレンス、回診に参加する。
LS2 カンファレンス・勉強会
  • 1.泌尿器科症例カンファレンス:手術症例に関して術前の評価および術式の詳細に関して検討を行う。手術施行後には手術記録を全員で閲覧し記載内容に誤りがないか、また問題があった場合には原因および対処法に関して全員で検討を加える。必要に応じて術中のビデオを供覧し参加者全体での情報共有を行う。入院および外来患者の治療方針に関して検討が必要であると主治医が判断した症例に関して症例提示を行い、全員で治療方針に関して討論する。また退院サマリーに関しても全員で閲覧し記載内容が問題点に対し推敲を重ねる。
  • 2.医局勉強会:自分が興味をもったテーマに関して複数の英語原著論文を精読し参加者全員にわかりやすいようにプレゼンテーションを行う。また執筆中の論文に関して疑問を抱いた点についても適宜プレゼンテーションを行い、全員で問題解決を図るようにしている。
  • 3.放射線科との合同カンファレンス:画像診断で難渋している症例について放射線科からのアドバイスを含め、検討を行っている。
  • 4.臨床病理部との合同カンファレンス:お互いの疑問点や病理診断について検討を行っている。
  • 5.現在までに施行された内視鏡手術に関しては全例の手術ビデオをライブラリーとして保管しているためいつでも参照することが可能である。また腹腔鏡やダヴィンチのシミュレーターが学内に設置されているためいつでも利用が可能である。
LS3 学会、研究会への参加
  • 1.研修期間に有益な学会が開催されているときには積極的に参加することで、幅広い知識を得ることができる。
  • 2.泌尿器科の主要な学会では初期研修医は無料である。

週間スケジュール

午前 午後
月曜日 08:30~ 手術・入院患者処置 13:00~ 手術・入院患者処置
09:00~ 病棟回診 17:00~ カンファレンス準備
火曜日 08:30~ 外来診察・入院患者処置 13:00~ カンファレンス・教授回診
18:00~ 術前症例のイメージトレーニング
水曜日 08:30~ 手術・入院患者処置 13:00~ 手術・入院患者処置
09:00~ 病棟回診 18:00~ 医局勉強会
木曜日 07:30~ 抄読会 13:00~ 泌尿器科的専門処置(前立腺生検・カテーテル交換等)
08:30~ 外来診察・入院患者処置 17:00~ 手術記録や術中ビデオによる手技の確認
09:00~ 病棟回診
金曜日 08:30~ 手術・入院患者処置 13:00~ 手術・入院患者処置
09:00~ 病棟回診 17:30~ 同週退院患者の退院サマリー作成

推奨研修期間

  • 1.上記目標は4週間以上の研修を想定している。

研修評価(EV)

  • 1.指導医が研修評価確認表および研修実施記録表に評価を記載する。
  • 2.レポートについて、研修終了直後に指導医が添削指導後、署名する。

副直回数

1~4回/月

スタッフ

  • 指導医
    教授:影山 進 講師:上仁 数義 助教:吉田 哲也 助教:小林 憲市 助教:和田 晃典 助教:窪田 成寿

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